2026年は「日（火）」のエネルギーが強まる年だ、とするスピリチュアルな見方があります。この世界観では、「日」は光と炎の力を象徴し、嘘やごまかし、魂に合わない生き方を燃やし尽くす年だと語られます。本稿では、その物語を整理しながら、心理学や感情の研究から見える“現実的な読み替え”も添えて、「日」の年をどう生きるかを考えてみます。
この動画が伝えているメインメッセージはとてもシンプルです。
本音に正直であろうとする人には追い風が吹き、嘘と我慢と依存を手放さない人には、現実の崩壊という形で「軌道修正」が迫られる。2026年は、そんな“魂の選別”が加速する節目だ、というわけです。
「日」の年とは何か――嘘が炙り出されるというイメージ
動画では、2026年は「日＝火」の力が倍増する特別な年だとされています。火は、隠れていたものを照らし出し、不要なものを焼き尽くし、同時に新しい芽が育つための土台をつくるエネルギーとして描かれます。
その光の前では、心の中にしまい込んできた嘘やごまかし、平気なふり、我慢といった“自己欺瞞”が隠しきれなくなるといいます。隠そうとするほど、仕事や人間関係、お金、体調といった領域にトラブルとして表面化し、「もうこの生き方は続けられません」というサインが出る、というストーリーです。
スピリチュアルな言葉でいえば「カルマの即時帰還」。現実的な言い方をするなら、「ごまかしや先送りが通用しづらくなり、誤魔化してきたテーマと正面から向き合わされやすい時期」と捉えることもできます。
波動の崩壊と「悪い年」に共通する心のクセ
日のエネルギーが強まるとき、特に影響を受けやすいのは、嫉妬、被害者意識、不満や悪口といった“重たい感情”だと動画では説明されます。これらは煙のように周囲に広がり、人から人へ燃え移る「波動感染」を起こすといいます。
感情が人にうつる、というイメージ自体は、心理学や社会ネットワークの研究でも裏づけがあります。長期データを用いた研究では、幸福感や感情状態が友人関係を通じて連鎖的に広がることが示されていますし、オンライン上でもポジティブ・ネガティブ双方の感情が投稿を介して伝播することが確認されています。
つまり、「悪い波動の人と一緒にいると運が落ちる」「前向きな人といると楽になる」といった感覚は、スピリチュアル抜きにしてもそれなりに現実味があります。
日の年という物語は、この“感情の伝染”を踏まえたうえで、「どんな感情を発信し、どんな人と時間を過ごすかが、いつも以上に大事になるタイミング」と読み替えることもできるでしょう。
魂の選別と人間関係の再編成
動画が強調するのは、「選別」は誰かに裁かれるのではなく、自分の波動選択の結果として自然に起こる、という点です。嘘や我慢、依存を手放さずにいると、波長の合う“重たい世界”に自然と居続けることになり、似たような人間関係や出来事が繰り返される。一方で、本音で生きようと決めた人は、これまでの環境を卒業する別れが起き、新しい縁が入りやすくなる――これが「魂の選別」のイメージです。
心理学の言葉を使えば、自分の価値観や境界線を見直した結果、「合わない関係を終わらせていくプロセス」とも言えます。別れは痛みを伴いますが、「相手を悪者にするのではなく、役割を終えた関係として感謝して手放す」姿勢を取れるとき、心の中での整理も早く進みます。
「一緒にいて心が軽くなるか、重くなるか」「会ったあとに前向きになっているか、ぐったりしているか」。こうした体感は、自分に合うかどうかを測るシンプルな羅針盤として使えます。日の年という物語は、「その羅針盤をごまかさずに使いましょう」という呼びかけだと受け取ることもできるでしょう。
火のエネルギーを味方につける実践――嘘・我慢・依存を手放す
動画では、光の側に残るための条件として、「自分に嘘をつかない」「嫉妬を手放す」「他人を責めない」「魂に正直でいる」という軸が語られます。さらに、手放すべきものとして、嘘、我慢、依存の三つが挙げられています。
これをもう少し現実寄りに言い換えると、次のような実践になります。
心の違和感をごまかさず、小さな正直さを積み重ねること。
限界を超えた我慢を続けるのではなく、「ここまでは頑張るが、ここから先は無理だ」と自分の線を認めること。
誰かや何かに「依存しなければ生きられない」という思い込みではなく、「助け合いながらも、自分の人生の責任は自分で持つ」という感覚を育てること。
ここで鍵になるのが、言葉です。ポジティブ心理学の研究では、「感謝を意識して書き出す」といったシンプルな介入でも、幸福感やポジティブ感情が有意に高まることが報告されています。また、自分に対して思いやりを向けるセルフ・コンパッションは、ストレスや抑うつを和らげ、健康的な行動を促す保護因子になることが複数の研究で示されています。
「疲れた、最悪、どうせ無理だ」といった口癖は、自分の内側に重い物語を繰り返し書き込む行為に近いものです。反対に、「大丈夫、なんとかなる、ありがとう」といった言葉は、現実がすぐに変わらなくても、心と体にとって柔らかい環境をつくります。日の年の“火”を味方にするとは、自分を焼き尽くす炎ではなく、自分を照らし温める焚き火として使うことだ、と捉えるとわかりやすいかもしれません。
「日」の時代を生きるための小さな決意
2026年の「日」の年という物語は、スピリチュアルな予言と捉えることもできますし、「これまでより、嘘やごまかしが通用しにくくなる社会と自分自身」に対する比喩として扱うこともできます。どちらの立場を採るにせよ、そこから引き出せる実践は似ています。
自分にだけは嘘をつかないこと。
無理な我慢や、しがみつきの依存から、一歩ずつ手を離していくこと。
日々の言葉と関係性をととのえ、炎にくべるべきものを見極めること。
気づいた瞬間から流れは変わる、というメッセージは、心理学的にも妥当な部分があります。自分のパターンに気づき、それを言語化することは、変化の第一歩だからです。2026年を「焼かれる年」にするのか、「余計なものを手放して軽くなる年」にするのかは、いまの選択の積み重ねで決まっていきます。
所感
個人的には、この「日の年」の話は、世界が不安定さを増している今だからこそ生まれてきた物語だと感じます。外側の状況をコントロールしきれないからこそ、「せめて内側は誠実でいたい」「一緒にいて楽になる人と生きたい」という願いが強くなっているのかもしれません。
未来のことは誰にも断言できませんが、「嘘を減らし、自分に優しく、感謝を口にする」。この三つは、どんな年であっても自分を助けてくれる実践です。2026年という区切りを、そうした生き方に舵を切り直すタイミングとして使ってみるのも、悪くないのではないでしょうか。
参考にした文献
- タフティ系スピリチュアル動画／2026年「日」の年と魂の選別に関する解説内容（本稿の元ネタ）。2025-12-03 確認。
- owler & Christakis, BMJ／幸福感が友人ネットワーク内で連鎖的に広がることを示した研究。2008年発表。
- Kramer et al., PNAS／オンライン上でも感情表現が大量のユーザー間で伝染することを示した実験。2014年発表。
- Cunha et al., Frontiers in Psychology／感謝リストを書く介入が幸福感などのウェルビーイング指標を高めることを示したランダム化試験。2019年発表。
- Homan, Health Psychology Open／セルフ・コンパッションがストレス低減や健康行動と関連することを示した研究。2017年発表。
- ・Manjanatha et al., PLOS ONE／セルフ・コンパッションがメンタルヘルスの保護因子となることを示した最新のレビュー。2025年発表